2015年11月6日金曜日

倉俣史朗の重力から解き放たれ、夢のように静かな浮遊感と透明感が漂うミスブランチ・チェアは、オークション中に約5千万をつけて過去最高の価格で売れた家具だろう。

倉俣は、椅子が座るための道具だという考えから、いち早く脱却し、オリジナリティー溢れる作品を作った。素材、造形、構造は、既成概念にとらわれず、新しいものへの挑戦に意欲的で、そのオリジナリティは群を抜いていた。座れない椅子があっても良いだろう。美しければ!

アームチェア「ミス・ブランチ」は、テネシー・ウィリアムズの戯曲「欲望という名の電車」の主人公、ブランチ・デュボワから名付けられた。キャスト樹脂「ミス・ブランチ」アームチェアは20世紀のデザインの家具として約5千万の£269,000(49,814,815円)の値段を付けた。





























「ミス・ブランチ」は、アクリル樹脂で出来ている。薔薇の造花は、浮かんで見えるように、ピンセットで丁寧に形を整え、一粒の泡もできないように少しずつアクリルを流し込んで作られた。素材そのものは高価なモノは無い。



























倉俣史朗のデザインキーワードは、重力・光・透明・記憶・夢等がキーワードで浮かび上がってくる。デザインは機能的で無ければいけないとか、サスティナビリティーやユニバーサルデザインの視点で語られる反面、まっこうから「美しければ良いでは無いか?」と言う意見もある。















座れない椅子に意味があるのか?などバッシングを受けたことも過去にある倉俣史朗作品だが、いまでは挙って世界中のデザインミュージアムのコレクション対象になっている。デザインの機能は、使いやすい、生産しやすいなどだけではなく、思想や精神性も含まれるべきだと言います。

素材を詩的に扱った「ミス・ブランチ」は、製作の手間とコストがかかるため、56脚だけ作られた。作品誕生から3年後、急性心不全で突然この世を去った倉俣史朗。享年56歳だった。
http://recasa.jp/idea/
http://www.dezeen.com/



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